「市民が見た戦乱のガザ〜イスラエル編〜」2024-03-16

2024年3月16日 當山日出夫

BSスペシャル 市民が見た戦乱のガザ〜イスラエル編~

イスラエルの側からの番組であるが、しかし、今のイスラエルのガザ攻撃を肯定しているわけではない。確かに現在のイスラエルにおいて、ガザ攻撃をすべきである、ハマスを滅ぼすべきであり人質を奪還しなければならない、このような意見がある。その一方で、憎しみの連鎖からは未来に希望を持てないと行動する人びともいる。双方において、それぞれの言い分はあるとは思うが、この対立は容易には解消できないかと感じる。

危惧することとしては、イスラエルの軍事行動に対する批判が、反ユダヤ主義につながることである。世界でひろまりつつある反ユダヤ主義については、日本の報道ではあまり触れられることがないかと思う。

それから、ガザにおけるイスラエルの軍事行動をジェノサイドと言うことがある。しかし、これは、ホロコーストはちょっと違うだろう。かつてのナチスによるユダヤ人に対する行いは、ユダヤ人をこの世から消し去ることを意図したものだと理解している。そのために大規模に計画的組織的に行われた。だが、今回のイスラエルの行動は、ガザに住む人びとを完全に抹殺することではないようである。犠牲者は多いが、全く人間の住まない土地にしてしまおうというものではない。

といってイスラエルの攻撃を擁護するつもりはない。しかし、これをジェノサイドということばで表現するのは、憎悪をつのらせることはあっても、解決に向けてはあまり意味のあることではないように思う。イスラエルの攻撃は非難されるべきであるが、その非難に終始することは、憎悪の連鎖から抜け出すことにはつながらないのではないかと思うのである。

国家と国家、軍隊と軍隊の戦いであるならば、どこかに落とし所がある可能性はある。しかし、よく指摘されることだと思うが、この戦いは、国家(イスラエル)とハマス、あるいは、アラブ社会との戦いである。そう簡単に解決できることではないかもしれない。

せいぜい出来ることとしては、何らかの停戦状態にもっていくことと、人道的支援の拡大、継続、というあたりのことかもしれない。日本にできることは、人道支援に協力することぐらいかもしれない。

イスラエルが悪い、シオニズムが悪い、ということで、イスラエルを抹殺してしまえばいいという考えにも、賛成はできない。(時として、このような意見を目にすることもあるのだが。)

ともあれ、イスラエルの一般市民の生活感覚というものの一端をとらえた番組であったとは思う。そして、憎悪の連鎖をたちきろうと努力する人がいることが印象に残る。

2024年3月8日記

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
このブログの名称の平仮名4文字を記入してください。

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2024/03/16/9667927/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。