『疑似科学入門』:疑似科学と科学は明瞭に区別可能か2008-06-06

2008/06/06 當山日出夫

私が、以前、このブログで『疑似科学入門』(池内了、岩波新書)に言及したところ、コメントをいただいている。

それほど、じっくりと読んだというわけではない。しかし、現時点で、私の考えを記しておきたい。

Chromeplated Rat

http://schutsengel.blog.so-net.ne.jp/

「疑似科学入門」のレビューを書かない

http://blog.so-net.ne.jp/schutsengel/2008-05-21/trackback

科学そのものから話しははずれる。私自身は、文字の研究者(のつもりでいる)。文字について、「正しい文字」「間違っている文字」を定義できるだろうか……一見すると、簡単そうなことだが、意外と、難しい。

「正しい文字」とは、この文字は正しい文字ではない……という逆方向からの定義によってしか、定義できない。一種の架空の存在である。そして、そのうえで、「間違っている文字」とは、「正しい文字」があることを、前提にしないと、言えない。(なお、このような、文字についての認識を持っている文字研究者は、限られているのが実際である。)

「科学」と「疑似科学」(疑似科学にもいろいろあるが)については、このような、相互に逆方向にしか、定義できないものであると、思う。

池内了の本については、いろいろコメントされている。それは、上記のブログ記事のコメント、トラックバックをたどると、よくわかる。これ以上、私が、付け加えることもないだろう。

大前提として、「正しい科学」というものがある……ということを、暗黙のうちに設定してしまうことの危うさ、これは、言い換えるならば、科学の方法論への自覚の欠如と言ってよいかもしれない。

疑似科学を、科学の対象とすることによって、科学とは何であるかが、より分かるようになる……このような論の方向が望ましいと、考える。さて、この本、学生に読ませるとすると、どう使うべきか。

『疑似科学入門』を読んで、科学と疑似科学の違いが分かるか、これによって、科学とは何であるか理解できるか、そのように書けているかどうか、を、レポートせよ、というような方向があるかもしれない。が、まあ、これは、学生のレベルにもよるので、思案ものではある。

當山日出夫(とうやまひでお)

コメント

_ kikulog: ― 2008-07-14 11時24分48秒

「僕達は科学と常識を統合します」p

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_ Chromeplated Rat - 2008-06-07 07時03分34秒

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