ブログの引用の自由をめぐって2009-01-12

2009/01/12 當山日出夫

私が確認したところで、読売新聞(YOMIURI ONLINE)が、報じている。この他、現時点で、Googleニュースでは、18件の関連報道がある。

テレビ朝日系で10日に放送の番組で、ブログ記事をスタッフが作って、それをあたかも、すでに一般にあるものであるかのように見せた問題。

記事から、一部「引用」すると、テレビ朝日の発言として、

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実際のブログ作成者から撮影許可が取れなかったので、同じ情報を元にスタッフが『再現』した。そのことをテロップやナレーションで伝えるべきだった。視聴者に誤解を与えかねない表現となり、申し訳ない。
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いくつかの問題点がうかびあがってくる。

・ブログ記事として、公開されたものの「引用」はどのようなルールであるべきか

・それは、文字データであるとしても、実際には、画面にレイアウトされたものとして、画像的な性格を持つ。では、それは、版面権・編集権、肖像権、のような権利をみとめるべきか。(なお、日本の法律上では、出版物の版面権は認められない。これは、漢字文献情報処理研究会によってあきらかにされている。)

・テレビである以上、文字データの「引用」ではなく、ブラウザで表示の画面を映像としてあつかう。このとき、どのような権利関係があり得るのか。(さらにいえば、ブラウザやその設定によって、見え方も違ってくるが、ここまで踏み込んだ議論になるのかどうか。)

このような問題の背景には、HPの「リンク自由」ことがある。ブログ(これもHPの一種の形態)で発言する以上、それは、誰にもアクセス可能でなければならない、と私は考える。だが、そこから先の次の利用、については、まだ課題が多いといわざるをえないのかもしれない。

これからの社会、ブログでの発言を無視して報道はあり得ないだろう。画面のレイアウトをふくめて画像で見せるか(全部あるいは部分的に)、また、文字列として引用して、再構成・編集するか。

この件のキーワードは「撮影許可」という言葉であろう。

これは、日本という「ガラパゴス」における、特有の、ネット文化の一端なのかもしれない。(「ガラパゴス」の言い方、『アーキテクチャの生態系』、濱野智史、NTT出版、2008、による。)

當山日出夫(とうやまひでお)

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