黒澤明『生きる』2024-01-11

2024年1月11日 當山日出夫

黒澤明『生きる』

この映画を映画館で見たのは学生のときだったと憶えている。確か東宝がいくつかの名作をまとめてリバイバル上映したなかにあったかと記憶しているが、定かではない。何十年ぶりかに見なおしたことになる。

『生きる』は若いときに見て良かった、と今になって感じる映画である。ヒューマニズムと同時に社会と人間に対する批判的精神がつらぬかれている。

やはり、もし余命いくばくとなったときには、「いのちみじかし、こいせよおとめ」と、「ゴンドラの唄」をブランコで歌う志村喬の姿を思い浮かべるにちがいないと感じている。

NHKの総合で映画を昼間に放送することは珍しい。たまたまなのであろうが、今、能登半島の地震のニュースに接すると、この時に、この映画の放送には意味があると思う。「人を憎んでいる暇はない」と主人公は語っていた。困っている人を助けなければならない時、SNSは憎悪と批判がうずまいている。

もし避難所でテレビが見られたら(かなりの地域は停電したままであるのだが)、被災した人たちは何を思って見たことだろうか。ふと、そんなことを思った次第である。

2024年1月8日記

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