『ちむどんどん』あれこれ「愛と旅立ちのモーウイ」2022-08-21

2022年8月21日 當山日出夫

『ちむどんどん』第19週「愛と旅立ちのモーウイ」
https://www.nhk.or.jp/chimudondon/story/week_19.html

前回は、
やまもも書斎記 2022年8月14日
『ちむどんどん』あれこれ「しあわせのアンダンスー」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/14/9517490

それでもこのドラマを見続けている。はっきり言って、そう面白いと思っているわけではない。だが、やはり次の展開がどうなるのか……たぶん、暢子は沖縄料理の店がうまくいくことになるのだろうし、沖縄の比嘉の家族もそれぞれ無事に暮らすようになるのだろうと思っている。

この週で印象的に思うことは、ニーニーのこと。ねずみ講は、れっきとした犯罪である。このドラマの当時において、こういう認識は一般にあったと思うのだが、オーナーの房子以外には、その知識の持ち合わせがなかったらしい。ニーニーがだまされるのは、まあ分かるのだが、和彦など新聞記者なのだから、この手の知識は持っていてしかるべきである。まずは、ニーニーがこれ以上深みに入りこまないように、警察に連絡するのが筋ではなかろうか。

朝ドラで犯罪を描くことは皆無ではない。近年のものでは「おちょやん」でも、父親と兄は、犯罪者と言ってもいい存在であった。が、そこは、なぜそのような人間であるのか、その背景がきちんと描かれていたと思う。それに比べれば、ニーニーの場合は、単に愚かとしか言いようがない人物設定になっている。このあたり、どうも見ていて納得がいかないところでもある。

さて、次週、沖縄料理の店はうまくいくことになるのだろうか。ともあれ、次週がどうなるか楽しみに見ることにしよう。

2022年8月20日記

追記 2022年8月28日
この続きは、
やまもも書斎記 『ちむどんどん』あれこれ「青いパパイアを探しに」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/28/9521385

「ドキュメント72時間」歴代ベスト102022-08-22

2022年8月22日 當山日出夫

HNKの「ドキュメント72時間」が、今年で放送開始から一〇年になるという。それを記念して、歴代のベスト10を視聴者が選んで、特集したもの。夏休みの間の夜遅くの放送であった。録画しておいて、後日、朝早く起きて、一つづつ見るようにして、順番に見ていった。

見たことのあるものもあれば、今回の特集で初めてみるものもある。

この番組が始まった当初から、時々は見ていたかと思うのだが、それがこんなに続く番組なるとは思っていなかった。しかし、「72時間」が続いてきたのには、それなりの理由があってのことだろう。

思うことを書いておくならば、次の二つになる。

第一には、世の中にはこんなところがあったのかという発見。たぶん、この番組で取り上げられなければ知らずに終わったようなところが多い。こんなところで、こんなふうに人は生きているのかと、思わず感心してしまうところがある。

第二には、それでもそこにある日常。どのようなところであっても、そこにいるのは、人間である。その人間の日常の生き方がが、投影されている。喜びもあれば、苦悩もある。人間の世の中なのだなと感じるところがある。

以上の二つのことを思って見る。

総じて感じることとしては、「人情」とでもいえるだろうか。いろんな表現が出来るかと思うが、ここはあえて古風なことばを選んでおきたい。人の世の生老病死をとりまく諸々の感情……人情……が、そこで交錯する。

72時間という限定的な時間であるからこそ、そこにかいまみることのできるドラマにひかれるということもあるのだろう。このところ、だいたいこの番組は録画しておいて、翌日の朝早くに一人でゆっくりと見るようにしている。これからも続いてほしい番組の一つである。

人間のいるところ、どこにでもドラマがあるものである。

2022年8月20日記

『鎌倉殿13人』あれこれ「災いの種」2022-08-23

2022年8月23日 當山日出夫

『鎌倉殿の13人』第32回「災いの種」
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/32.html

前回は、
やまもも書斎記 2022年8月16日
『鎌倉殿の13人』あれこれ「諦めの悪い男」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/16/9518010

頼家は死ななかった。頼家がもう死ぬものと思いこんで、おこったのが比企の討伐ということであったはずだが、これは、北条にとっても、あるいは、滅ぼされてしまった比企にとっても、大きな見込み違いということになる。このあたりの経緯を、ちょっとコミカルな感じで描いていた。

ともあれ、比企が亡び、次の鎌倉殿として実朝が登場することになった。そして、その実朝は、この後、非業の最期を迎えることになるのだが、その伏線がこのあたりから張りめぐらされていることになる。

さて、そろそろ九月である。残り三ヶ月である。和田のことを描き、それから、実朝のことを描き、そして、承久の乱ということになるのだろうが、これからどう展開するだろうか。

気になるのは、善児とトウの二人。これは架空の人物のはずだが、この回においても、巧みな演出であった。義時が鎌倉で権力を握るとき、善児とトウの存在は、きわめて重要なものになってきているようだ。これから、どこでどう登場することになるのか、目が離せない。

歴史の結果はわかっているのだが、しかし、そうであるからこそというべきか、このドラマは、次の展開が興味深い。これから、どのような実朝が描かれることになるのか、次回以降を楽しみに見ることにしよう。

2022年8月22日記

追記 2022年8月30日
この続きは、
やまもも書斎記 2022年8月30日
『鎌倉殿の13人』あれこれ「修善寺」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/30/9522010

紫蘭2022-08-24

2022年8月24日 當山日出夫

水曜日なので写真の日。今日は紫蘭である。

前回は、
やまもも書斎記 2022年8月17日
夕化粧
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/17/9518307

以前に撮影しておいたストックからである。紫蘭の花が咲くのは、初夏のころである。

我が家の池のほとりに咲く。毎年見ているのだが、写真に撮るとなると難しい。いくつかの花が、てんでばらばらな方向に向いて咲く。特定の一つに花だけを取り出して写すということが難しい。この花の場合、花が咲いてからよりも、まだ咲く前のつぼみの初期のころが、むしろ写真には撮りやすい。

あいかわらず暑い。朝起きて、露草の花それからギボウシの花の咲いているのを写真に撮ったりしている。百日紅の花は終わりかけになってきた。杜鵑草はまだまだ咲きそうにない。木槿につぼみが少し見えるようになってきた。

シラン

シラン

シラン

シラン

Nikon D500
SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 EX DG OS HSM

2022年8月23日記

追記 2022年8月31日
この続きは、
やまもも書斎記 2022年8月31日
ハルジオン
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/31/9522294

映像の世紀バタフライエフェクト「中国 女たちの愛と野望」2022-08-25

2022年8月25日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 「中国 女たちの愛と野望」

8月22日の放送。録画しておいて、翌日の朝にゆっくりと見た。

これまで「映像の世紀」シリーズで、宋三姉妹のことなど、時々登場していたかと憶えている。これまでの放送を再構成して、女性を軸に、中国近代史の素描という形であった。これは、かなり面白かった。

見ていて思ったことはいくつかある。

基本的に中国共産党を支持する立場で作られている。いや、それよりも、孫文の辛亥革命の理念を尊重しているというべきだろうか。考え方にもよるだろうが、孫文の意志をうけついでいるのは、最期の方に登場してきていた、台湾の蔡英文であるといえるかもしれない。

描いていたのは、基本的に文化大革命のころまで。この当時のことは、私は、おぼろげに記憶にある。番組では、それと強調することはなかったが、この当時、毛沢東は神格化されていた。その影響は、日本のみならず、世界の若者、知識人に及んでいた。(このあたりのことについては、「映像の世紀」の別の回で、触れられていたことでもある。)

そして、触れることがなかったのが、現代の中国。はたして、現代の中国……習近平独裁の中国と言っていいと思うが……において、女性たちは何を考えて、どう行動することになるのだろうか。ここのところについては、触れることがなかった。

日中戦争当時の、戦場のカラー映像が興味深かった。

最後まで見たが、この回の製作にかかわっていたのはテムジン。

2022年8月23日記

『貸本屋とマンガの棚』高野慎三/ちくま文庫2022-08-26

2022年8月26日 當山日出夫

貸本屋とマンガの棚

高野慎三.『貸本屋とマンガの棚』(ちくま文庫).筑摩書房.2022
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480438386/

元の本は、『貸本マンガと戦後の風景』(論創社.2016)。タイトルを改めて、文庫にしたものである。

戦後の出版、読書、サブカルチャーというようなことに興味にある人にとっては、必読の本であるといっていいだろう。戦後の貸本屋におかれたマンガ本、それは、どのような作者が書いて、どのような読者がいたのか。また、それは、どのように流通していたのか。そして、周辺の貸本小説や映画などとのかかわりはどうであったのか、実に興味がつきない。

読んで思うことはいろいろあるが、二つばかり書いてみる。

第一には、戦後のある時期にについての証言としての面白さである。戦後、貸本屋にマンガがおかれていた。その期間は、十数年ほどのことになる。その時期を実際に生きてきた人間の目で、貸本マンガの栄枯盛衰をたどってある。これは、とりもなおさず、その作者たちや読者たちをまきこんだ歴史の証言ともなっている。戦後の文化史として読んで、非常に面白い。

第二には、一般に読書史という興味からの面白さ。いったい日本人は、何を読んできたのだろうか。特に、戦後、義務教育を終えて都市で働いていたような若者たちは……いや、中には戦災孤児など義務教育を満足に受けられなかった人びともいたののだが……いったい娯楽に何を求めていたのか。何を読んでいたのか。このような視点から見て、興味深い指摘が多くある。決して「文学」を読んできたのではないことが理解される。

だいたい以上の二つのことを思って見る。

私は、昭和三〇年(一九五五)の生まれである。貸本屋の全盛期は経験的には知らない。しかし、その残滓とでもいうべきものがあったことは、かろうじて体験的に知っている。

この本は、マンガ史研究にとっても貴重な証言や考察に満ちている。そして、その一方で、その作者たち、読者たちは、どのような人びとであったのかという興味関心もある。戦後貸本マンガについての貴重な調査と証言は、これからのマンガ研究のみならず、文化史、読書史といった分野において、貴重なものである。

中でも、戦争マンガとかSFマンガ、それから少女マンガのことなど、面白い。これらは、マンガ史というよりも、さらに大きな枠組み……戦後の文化史……という観点から、再検討されるべきことのように思われる。

2022年8月25日記

『城』カフカ/池内紀(訳)2022-08-27

2022年8月27日 當山日出夫

城

カフカ.池内紀(訳).『城』(白水Uブックス).白水社.2006
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b205601.html

『城』を読み返すのは、何度目かになる。若い時に読んだかと思う。近年になっても読みかえしている。新潮文庫版である。見ていて、白水社版で池内紀の訳があったので、今回はこれで読んでみることにした。

この前、『城』を読んだときから、世界は変わった。COVID-19の流行ということがあり、今年になってからはウクライナでの出来事があった。文学を、その時々の時事的な問題にひきつけて理解するのは、正しくないのであろう。しかし、文学が普遍的な価値を持つとするならば、どのような状況下にあっても、その時々の世界の情勢のなかで、解釈され読まれるものとしてであるともいえよう。この意味では、『城』は、まさしく現代という時代においても、その普遍的価値を持った作品として存在することになる。

「城」は何の表象なのか、まさに、『城』という作品の読書の数だけ解釈が可能であろう。それが、今の時代にあっては、COVID-19やウクライナでの出来事などが、重なって脳裏にうかんでくる。どうしようもなく、理不尽で不条理におかれた人間の悲喜劇のあれこれとしてであるといってよいだろうか。

ただ、今回読みかえしてみて思ったこととしては、以前読んだときには、Kという登場人物と城との関係を軸に読んでいた。それが、今回読みなおしてみて感じるところは、村の人びとにとってKとは何者なのか、という視点で読むことになった。(これは、翻訳がかわっているということのせいもあるのかもしれないが。)

村の人びとにとってKは、部外者、よそ者がいきなりやってきたことになる。それが、城と関係あるという。村の人びとの生活にとって、Kの存在はいったい何なのであろうか。必ずしも歓迎されるとは限らないようだ。

今のような時代状況のなかにあって、カフカは、じっくりと読みかえしてみたい作家である。

2022年8月25日記

『ちむどんどん』あれこれ「青いパパイアを探しに」2022-08-28

2022年8月28日 當山日出夫

『ちむどんどん』第20週「青いパパイアを探しに」
https://www.nhk.or.jp/chimudondon/story/week_20.html

前回は、
やまもも書斎記 2022年8月21日
『ちむどんどん』あれこれ「愛と旅立ちのモーウイ」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/21/9519415

見ていてどうにも展開がもどかしい。思うところを書いてみる。

和彦。暢子が妊娠していることがわかったなら、普通はそれに協力することになるだろう。自分のやりたいことはあるかと思うが、それはちょっとおいておいて、暢子のために、何かできないものかと思う。あるいはいきなりフリーの著述業ではなく、どこかに勤めることもできただろう。場合によっては、しばらくは暢子の新しい店の手伝いということもあるかもしれない。

智。いくら歌子のことを思っているとはいっても、やはりだますようなことはよくないと思う。これからどういう流れになるかは分からないが、暢子にふられて、次にその妹の歌子と接近するのも、ちょっとどうだろうか。

矢作。イタリアンの店につとめていて、失業して困窮する。そこを暢子に見つけられて、結局は暢子の店を手伝うことになる。まあ、これはいいとしても、ちょっとぐらいは沖縄料理の勉強ということがあってしかるべきである。いきなり、沖縄料理の料理人ということはないだろうと思ってしまう。

そして、この週は、ニーニーが出てこなかった。養豚場で無事に働いていることになるだろうか。ともあれ、次週を楽しみに見ることにしよう。

2022年8月27日記

追記 2022年9月4日
この続きは、
やまもも書斎記 2022年9月4日
『ちむどんどん』あれこれ「君と僕のイナムドゥチ」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/09/04/9523340

ブラタモリ「境港・米子」2022-08-29

2022年8月29日 當山日出夫

土曜日の放送。録画しておいて、日曜日の朝にゆっくりと見た。

ゲゲゲな放送であったが、ともかく、境港という場所で、水木しげるが生まれたということは、なるほどという気がする。(ちなみに、以前の朝ドラ「ゲゲゲの女房」は、ほとんど見た。)

水木しげるの作品の多くは、リアルタイムで読んだものである。「ゲゲゲの鬼太郎」は、少年マガジンの連載のときに、子供のころ読んだものである。今では、初期の「墓場鬼太郎」も文庫本などで復刊されているので読むこともできる。

何より面白かったのは、たたら製鉄によって生み出された砂が、砂州を作り地形まで変えてしまったこと。人間のいとなみが、自然の地形を大きく変えたことになる。また、たたら製鉄が終わって砂の供給が無くなると、砂浜が減少して、それを防ぐために、離岸堤を作ったことなど、とても興味深い。

それから、面白かったのは、綿の栽培。境港の辺りが綿の産地として著名であるとは、知らなかった。また、砂州であっても、地面を掘れば真水が得られるというのも、面白かった。

2022年8月28日記

『鎌倉殿の13人』あれこれ「修善寺」2022-08-30

2022年8月30日 當山日出夫

『鎌倉殿の13人』第33回「修善寺」
https://www.nhk.or.jp/kamakura13/story/33.html

前回は、
やまもも書斎記 2022年8月23日
『鎌倉殿13人』あれこれ「災いの種」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/08/23/9519963

頼家は死ぬことになる。そして、そこにいたのは善児だった。

善児は、このドラマでは架空の人物である。(ひょっとすると史料に何か残っているのかもしれないが、私は知り得ないでいる)。この架空の人物は、このドラマの最初の方で登場してきていて、かなり印象が強かった。その後、ときおり登場して、ここぞというときに腕を振るっていた。

その善児が、頼家の最後にもかかわるのだが、ミスをする。そのミスの原因が、前回に出てきたあるシーン。ここは、うまく伏線がつながっていることになる。

この回の見せ場は、やはり終わりの頼家暗殺の部分。猿楽にまぎれて忍び込んだ刺客。ここでの殺陣は、比較的新しい感じに演出してあった。これまで、合戦シーンなどの殺陣では、いかにも鎌倉時代という雰囲気で、ちょっと古風な演出であったのに比較すると、現代の時代劇風のつくりになっていた。

ところで、運慶と義時の会話が興味深かった。義時は、悪い顔になったという。なるほどそうであろうと思う。権力者の顔である。これから、鎌倉幕府は、義時がひきいる北条氏が権力を握ることになる。

では、実朝は、どのような鎌倉殿としてこれから描かれることになるのであろうか。

次回以降の展開を楽しみに見ることにしよう。トウはこれからも登場することになるのだろうか。

2022年8月29日記

追記 2022年9月6日
この続きは、
やまもも書斎記 2022年9月6日
『鎌倉殿の13人』あれこれ「理想の結婚」
https://yamamomo.asablo.jp/blog/2022/09/06/9523890