「追いつめられる高齢出稼ぎ労働者 〜中国・西安〜」2024-12-05

2024年12月5日 當山日出夫

Asia Insight 追いつめられる高齢出稼ぎ労働者 〜中国・西安〜

再放送である。最初の放送は、二〇二三年八月。

中国の経済発展については、主に都市部に住む人びとの暮らしぶりで紹介されることが多い。それも、今では、建設途中で止まって廃墟になったビルの映像が多くなってきた。

そのような中国の経済発展をささえたのが、農村部出身の労働者、農民工であることは知られていることだろうと思うが、その生活の様子が報道されることはほとんどないといってよい。

中国で労働者の定年が、男性が六〇才、女性が五〇才、というのが普通らしい。このような人たちの老後を支えるのが年金ということになるが、その支給は十分ではない。働いていたときの二〇分の一だという。(これは、どう考えても日本よりひどい。)

高齢になっても仕事を求める。それも日雇いの肉体労働ということであるが、それでも仕事が十分にあるわけではない。集まって手配師から仕事をもらうことになるのだが、これは、日本における日雇い労働者の街の有様と変わらないという気がする。日本の場合、それでも、いろんな支援団体などがあるし、低価格の宿泊施設もあったりする。社会の労働力としては、このような部分もある意味では必要になってくるのか、という気はしている。だが、そこに援助の手助けは、公的にも、あるいは、ボランティアであっても、必要だろう。

しかし、中国の場合、このような人たちに対する支援はないようである。公的な社会福祉政策の対象として考えなければならないはずだが、今の中国政府にはそのようなことは考えていないようだ。

少子高齢化は中国の予想される、いや、確実にやってくる近未来の姿である。このとき、農民工であるような年老いた人たちはどうなるのだろうか。病気になっても、医療保険制度が整っていないと、みじめな末路ということになる。(さて、以前、「ドキュメント72時間」で中国のがん専門病院のことをあつかっていたが、中国でがんになると、その治療費が大きな負担になる。)

中国の経済発展から取りのこされたと感じる人びと……年老いた農民工であり、あるいは、都市部でも就職できない若者であったり……が、これからの中国のなかでどのように処遇されることになるのか、国家のゆくすえと大きくかかわることであることはまちがいないだろう。

2024年12月4日記

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