「眩〜北斎の娘〜」 ― 2025-01-08
2025年1月8日 當山日出夫
眩〜北斎の娘〜
これも『べらぼう』関連で再放送ということになるだろう。最初の放送のとき、見逃して(録画しそこねて)あったものである。
北斎の娘、お栄のことは、このごろ取りあげられることが多くなったかと思う。葛飾応為の名で知られていることになる。
ドラマとしては、お栄のことを描きながらも、半分は北斎のことであったという感じである。富嶽三十六景のあたりから後のこと、ということになる。ベロ藍を北斎も使っている。この絵の具は、日本の絵画(浮世絵)に大きな影響を与えたことになる。
お栄が言っていたこと……光と影と色彩と、このことは、たしかにお栄(応為)の描いた『吉原格子先之図』などを見ると(これも今ではWEBで簡単に確認できる時代になっている)、確かに光と影を効果的につかっている。だが、日本の絵画史において、このようなことが自覚されるようになったのは、日本の浮世絵が、まさに紙くずとして海外に流出し、それが、ジャポニズムとして評価され、印象派の絵に影響を与え、さらに、それが日本に紹介される、というような結果としてではなかったろうかと思うのだが、日本の美術史、絵画史の研究ではどう考えられていることになるのだろうか。
北斎は、長塚京三だったが、たしか、去年放送の広重のドラマでも、北斎の役は長塚京三だったように憶えている。西村屋与八が西村まさ彦であるのは、『べらぼう』と同じである。
演出として気になったことは、お栄(宮﨑あおい)が基本的に正座で座る場面がほとんどなかったことである。これは、かなり意図的な演出であったと感じる。
北斎の工房というかアトリエというか、この乱雑さは、う~んこんなもんだったのかなあ、と思って見ることになる。ただ、この時代の浮世絵などが、工房での製作、つまり、共同での作業の結果であるということは重要かと思う。芸術が、芸術家個人のいとなみとして広く認識されるようになるのは、やはり近代以降のことというべきである。
それにしても、テレビのドラマで芸術家を描くというのは、いろいろと難しところがあるかと思う。去年の『光る君へ』でも、結局、芸術家としての紫式部、という側面はほとんど描かれることなく終わってしまった。ドラマとしては、面白いものだったが、このところがちょっと残念でもあった。
2025年1月5日記
眩〜北斎の娘〜
これも『べらぼう』関連で再放送ということになるだろう。最初の放送のとき、見逃して(録画しそこねて)あったものである。
北斎の娘、お栄のことは、このごろ取りあげられることが多くなったかと思う。葛飾応為の名で知られていることになる。
ドラマとしては、お栄のことを描きながらも、半分は北斎のことであったという感じである。富嶽三十六景のあたりから後のこと、ということになる。ベロ藍を北斎も使っている。この絵の具は、日本の絵画(浮世絵)に大きな影響を与えたことになる。
お栄が言っていたこと……光と影と色彩と、このことは、たしかにお栄(応為)の描いた『吉原格子先之図』などを見ると(これも今ではWEBで簡単に確認できる時代になっている)、確かに光と影を効果的につかっている。だが、日本の絵画史において、このようなことが自覚されるようになったのは、日本の浮世絵が、まさに紙くずとして海外に流出し、それが、ジャポニズムとして評価され、印象派の絵に影響を与え、さらに、それが日本に紹介される、というような結果としてではなかったろうかと思うのだが、日本の美術史、絵画史の研究ではどう考えられていることになるのだろうか。
北斎は、長塚京三だったが、たしか、去年放送の広重のドラマでも、北斎の役は長塚京三だったように憶えている。西村屋与八が西村まさ彦であるのは、『べらぼう』と同じである。
演出として気になったことは、お栄(宮﨑あおい)が基本的に正座で座る場面がほとんどなかったことである。これは、かなり意図的な演出であったと感じる。
北斎の工房というかアトリエというか、この乱雑さは、う~んこんなもんだったのかなあ、と思って見ることになる。ただ、この時代の浮世絵などが、工房での製作、つまり、共同での作業の結果であるということは重要かと思う。芸術が、芸術家個人のいとなみとして広く認識されるようになるのは、やはり近代以降のことというべきである。
それにしても、テレビのドラマで芸術家を描くというのは、いろいろと難しところがあるかと思う。去年の『光る君へ』でも、結局、芸術家としての紫式部、という側面はほとんど描かれることなく終わってしまった。ドラマとしては、面白いものだったが、このところがちょっと残念でもあった。
2025年1月5日記
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2025/01/08/9745453/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。