『ウェブは菩薩である』 ― 2008-07-10
2008/07/10 當山日出夫
ARGで紹介されていた本。学校での休憩時間をつかって、読み終わった。
ARGでの指摘のように、サブタイトル「メタデータが世界を変える」の方が、この本の内容を的確にあらわしている。メタデータによる、複合的な分類・検索、それから、ソーシャル・ブックマークの解説が、眼目であろう。
そのうえで、(つまり、読む価値があると判断したうえで)あえて、辛口に印象を述べると、
ひとつは、巻末の参考文献にあげてある、『「みんなの意見」は案外正しい』は、その条件に、つぎの4つのことを前提としている、「意見の多様性」「独立性」「分散性」「集約性」。このうちで、最も重要なのは、「独立性」だと思う。この「独立性」を保てる文化的風土が必要である。そうでなければ、「集合知」ではなく、「衆愚」になりかねない。
いいかえれば、人から批判されようが、自分の意見は意見として述べる。この「独立性」について、さらにつっこんだ議論が欲しい。
それから、日本でも、(あるいは、世界でも)、インターネットに接続可能な環境が、完全に整備されてはいない現状がある。すくなくとも、日本国内でも、人口過疎の山間僻地にまで、ブロードバンドをあまねく行き渡らせるには、膨大な投資がかかる。
このような過疎地域に住む人にとってこそ、インターネットは必要なのかもしれない。逆にいえば、無くても困らない都会ほど、濃密なネット基盤がある。このような現実をどう考えるか。
以上、あえて批判的なことを述べたが、ごく身近にありながら、その仕組みがいま一つよくわからない(私だけかもしれないが)、ソーシャル・ブックマークの将来性についての、考察は読むに値する。
深見嘉明.『ウェブは菩薩である-メタデータが世界を変える-』.NTT出版.2008
當山日出夫(とうやまひでお)
追記(2008/07/13)
この本について、もろさんも書いておいでなので、トラックバックを送信しておく。
http://d.hatena.ne.jp/moroshigeki/20080711/p1
まあ、ウェブについて、楽観的すぎる点も感じないではない。メタデータやオントロジーのついて語る、入門としては、学生にすすめてもいいかなと思う。
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