Asia Insight 「離婚できない女性たち 〜フィリピン〜」2025-03-15

2025年3月15日 當山日出夫

Asia Insight 離婚できない女性たち 〜フィリピン〜

フィリピンが離婚できない国である、ということを始めて知った。国民の多くがカトリックの信仰を持っている国としては、離婚のハードルが高いことは確かかもしれないが、法的に出来ない(まったく無理ということではない、結婚の無効化はかろうじてできるが、きわめて困難)というのは、どうかなあ、と思うところではある。

法的に禁止すると、ヤミでことがすすむ。これは、人間の社会において、どこでも見られることである。売春がそうであるし、禁酒法もそうであった。実質的に破綻した結婚も多くあるし、また、ニセの証明書を偽造するビジネスも横行している。それが、通りに、どうどうと看板を出しているのは、ほとんど野放しということなのかもしれない。

この番組でいいと思ったのは、結婚が破綻した夫婦について、妻の側の言い分だけではなく、夫の側も言い分を、取材していたことである。(このようなテーマの場合、おうおうにして、女性の側の主張だけが大きく取り上げられることが多いが。)

また、離婚を法的に認めることに反対する意見をもつ夫婦の考え方も取材していた。

考え方としては、人それぞれだろうとは思うが、実質的に破綻した結婚を無理してつづけるよりは、離婚を認めた方がいいだろうと感じる。だが、これも、その当事者のひとたちから見ると、日本にいての考えということになるのかもしれない。

また、離婚を認めるとしても、家族を社会の基本の単位とする考え方が大きく変わるわけではないようである。いや、それが基本であると考えるからこそ、破綻してしまった結婚を続けることが無意味ともなる。

離婚が認められないと、DVの被害にあう女性が増える。そのとおりかと思う。番組のなかでは、殺されてしまう女性がいるかもしれないと言っていたのだが、実際は、殺されてしまう男性がいてもおかしくはない。フィリピンで、結婚、離婚をめぐる要因で、どれぐらいの犯罪が実際におきているのか、ということは気になる。(その事情が表面化する事例は少ないのかもしれないが。)

どうでもいいことだが、フィリピンでは、食事をするとき、スプーンとフォークで食べるらしい。こういうのは、映像を見て、そうなのかなと思うところである。

2025年3月14日記

NHKスペシャル「国境を越える“言論弾圧” 〜その男は中国のスパイだったのか〜」2025-03-15

2025年3月15日 當山日出夫

NHKスペシャル 国境を越える“言論弾圧” 〜その男は中国のスパイだったのか〜

中国共産党としては、NHKがこういう番組を作ることを、黙認しているのか、内心では快く思っていないのか、わざと作るようにしむけているのか……さて、どうなのだろうと思う。どれであってもおかしくない。

どうであったところで、中国共産党の監視の目は世界中に広がっており、批判的な活動をする人間に対しては容赦しない、という姿勢は伝わってくる。そして、重要なことは、おそらく今の中国共産党は、このような姿勢でいることを、隠そうとはしていないということだろう。

そして、結果的には、海外で中国共産党に対する批判活動をする人たちに対して、萎縮させるメッセージにはなる。

これはアメリカの事例としてであったが、同じようなことが、日本でおこなわれていても不思議ではない。まあ、日本の警察が、表だって中国批判となるようなことを避けているということもあるのかもしれない。場合によると、知られないところで、水面下で、様々な活動があり、それへの、弾圧的な動きがあり、ということなのかもしれない。

かつての天安門事件のときのように、露骨な武力弾圧は、もうできないということであろう。やる気になればできるかもしれないが、もしそういうことが再びあれば、中国共産党は、国際的信用(もし、そんなものがまだあるとしてであるが)を、決定的に失う。せいぜい、香港での民主化運動弾圧のように、死者が出ないように(実際は、こっそりと殺されてしまった活動家がいてもおかしくはないと思うが)、デモを鎮圧するということであり、その映像が世界に流れることを意図していることになるのだろう。結果的には、香港の民主化運動を強権的に弾圧すると同時に、(人が死ぬような)武力弾圧はしないという、見せかけのメッセージを発信していることになる。

中国の民主化……もし、これが実現する時代がくるとして、それは、どのような形として実現することになるだろうか。これはこれとして、改めて考えなければならないことではある。独裁によってでしか統治できない国、ということではないと思うことにしておきたい。

2025年3月10日記

サイエンスZERO「人類の未来を変える! “昆虫科学”最前線in九州大学」2025-03-15

2025年3月15日 當山日出夫

サイエンスZERO 人類の未来を変える! “昆虫科学”最前線in九州大学

別に昆虫は、人間の役に立つために地球上に生きてきたわけではないのだが、それを研究することで、人間の役にたつ場面もある。

九州大学で、カイコの多くを、種を保存してきたということは、貴重である。養蚕に役立たないようなものは、途中でやめてしまうということもあったのかもしれないが、集める、続ける、ということの価値が理解できる。(番組では言っていなかったが)選択と集中というのが、いかにおろかなことであるか、ということでもある。

虫の会話、というが、人間以外の生物、植物を含めて、互いにどのようにコミュニケーションしているか、というのは、おそらく近年の生物研究の一つ流れなのだろうと思う。その応用として、人間にとって害虫となる昆虫の繁殖をおさえることも可能になる。これは薬品を使わないし、また、状況によってはすぐに止めることができる。

折り紙と、ハサミムシの羽と、太陽光パネル……一つのことについての知見が、視点を変えることによって、様々に応用ができるという事例になるのだろう。研究者間のコミュニケーションと、柔軟に連携できる研究機関同士の関係性というのも、重要なことかと思う。

ところで、九州大学の昆虫の標本は、どのように管理され保存されているのだろうか。そのバックヤードも見てみたい。

2025年3月11日記