日曜劇場『この世界の片隅に』第三話2018-08-01

2018-08-01 當山日出夫(とうやまひでお)

TBS日曜劇場『この世界の片隅に』第三話
http://www.tbs.co.jp/konoseka_tbs/story/v3.html

前回は、
やまもも書斎記 2018年7月25日
日曜劇場『この世界の片隅に』第二話
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/07/25/8924945

このドラマ、だいたい原作(漫画)を忠実になぞっているようだが、時として、そこにある題材をふくらませて描くところがある。今回でいえば、アイスクリームを、周作と食べるシーンがそれにあたる。

リンと出会うことになる筋道は、ほぼ原作のとおり。アリにとられまいとして、砂糖を水に溶かして無くしてしまう。ヤミ市で買うことになる。その帰り道で、すずは道にまよう。迷い込んだのが、遊郭。そこで、リンと出会う。帰り道を教えてもらう。

リンは、アイスクリームの絵を描いてくれとねだるが、すずは食べた経験が無いので知らない。そんなすずに、周作は二人きりの逢い引きを設定してアイスクリームを御馳走する。この逢い引きのシーンは、原作(漫画)にはあるが、アイスクリームは出てこない。

しかし、昭和19年の呉の街で、果たしてアイスクリームが、街の食堂で食べられたかどうか、ここのところは、問題の残るところかもしれない。雑炊しかメニューにないような時代である。とはいえ、このアイスクリームのエピソードは、ドラマで描いてあって、しみじみと感じ入る場面でもあった。始めてアイスクリームを口にしたすずの表情がよかった。それから、自分で食べてしまわずに、すぐ周作にも食べるようにすすめる。一つのアイスクリームを二人で食べていた。

ところで、リンと周作はどのような関係にあったのだろうか……原作(漫画)では、このあたりが描かれていない。ドラマでは、リンをめぐる人間関係が展開するように見える。それは、次回以降のことになるのだろう。

また、現代のパートもまだ謎につつまれたままである。若い女性は、すずが住んでいた家の持ち主と面識があるらしい。これも、次回以降、徐々に解明されていくことと思う。

岡田惠和脚本は、原作(漫画)の設定をかりて、基本的にその人物造形やエピソードに忠実でありながら、ドラマとして幅を広げて描いていくようだ。その中で、核になるのは、やはり、戦時下という設定ではあるものの、日常生活のいとおしさとでもいうべき感覚である。

ここまで見た感じでいえば、主演の松本穂香の起用は成功であったというべきであろう。原作(漫画)のすずのもっている雰囲気をうまく演じている。それから、径子(尾野真千子)、そして、サン(伊藤蘭)がうまい。リン(二階堂ふみ)もいい感じである。

次回も楽しみに見ることにしよう。

追記 2018-08-08
この続きは、
やまもも書斎記 2018年8月8日
日曜劇場『この世界の片隅に』第四話
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2018/08/08/8936597

コメント

_ 小原正靖 ― 2018-08-01 06時04分43秒

太平洋戦争の時母方の祖父が海軍で呉にいました 陸軍とくらべると食料事情等待遇はよかったようです 流石に食堂に十分な物資があるとは思えませんが 横流し?
まあドラマですから 松本穂香さんはAUのCMでよく見かけます 普通の若い女の子という感じでいいのでは

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