『らんまん』あれこれ「ヒルムシロ」2023-06-04

2023年6月4日 當山日出夫

『らんまん』第9週「ヒルムシロ」

植物学雑誌に向けて一歩を踏み出したことになった。史実としては、確かに牧野富太郎は雑誌の刊行にかかわている。また、そのために、石版印刷の技術も習得している。このあたりは、史実を踏まえた展開ということになるのだろう。

それにしてもおおらかな時代だったと感じる。小学校も出ていない地方の若者に対して、東京大学の植物学教室への出入りを許す。今では、ちょっと考えられないことではあるが、しかし、明治の文明開化の時代、日本における植物学を基礎から構築していくためには、万太郎のような人材の出現は、歓迎されたことだろう。

土佐の峰屋はどうなるだろうか。税金が上がったということならば、今の時代なら販売価格に転嫁してなんとかするということになるところである。明治の初めのころとしては、このあたりどうだったのだろうかと思う。(歴史学の方面からも、明治の初期の政府の財政がどうなっていたかというのは、とても興味深いテーマにちがいない。)

寿恵子は、ダンスのレッスンを始めることになる。進取の気性ということになるのだろう。ただ、男性にすがって生きていくという、(古い)タイプの女性ではない。

さて、万太郎と寿恵子とがこれからどうなっていくのかも、これからのこのドラマの見どころである。楽しみに見ることにしよう。

2023年6月3日記

『村上T』村上春樹/新潮文庫2023-06-04

2023年6月4日 當山日出夫

村上T

村上春樹.『村上T-僕の愛したTシャツたち-』(新潮文庫).新潮社.2023(マガジンハウス.2020)
https://www.shinchosha.co.jp/book/100177/

私はTシャツを着ない。そうと決めているわけでもないし、特にそのようなポリシーがあるわけでもないのだが、何故か若いころから着ないままで今にいたっている。

何故だろうか。私が若いころ、Tシャツは、ある種のメッセージがあった。それがあまり好きになれなかったということもある。なるべく無色透明でいたいといえばいいだろうか。

さらに強いていえば、半袖のものは着ないことにしている。夏のよほど暑いときでないと着ない。いや、夏の暑いときこそ、半袖は着ない。今はさほどではなくなったが、夏の暑いとき、冷房が強くきいているところに行ったりするとき、調節のために、あえて長袖を着るようにしているということもある。これも、この頃では、電車に乗って冷房が効きすぎていると感じはあまりしなくなっている。社会全体の省エネの傾向の結果だろう。

この本は、村上春樹が、Tシャツにまつわる話題で書いたエッセイとインタビューを収めている。村上春樹には、Tシャツが似合うと思う。逆に言えば、あまりフォーマルな恰好は、イメージできないということもあるが。

読んで面白い。Tシャツに関係して、小説のこと、レコードのこと、旅のこと、ビールのこと、その他、いろんな話題に及んでいる。村上春樹のエッセイの世界である。

2023年6月3日記