『どうする家康』あれこれ「長篠を救え!」 ― 2023-06-06
2023年6月6日 當山日出夫
『どうする家康』第21回「長篠を救え!」
この回で印象に残るのはやはり次の二人だろうか。
第一には、信長。
これまでのドラマの信長とは違った。以前の大河ドラマで多くの信長が登場してきているのだが、その中でも傑出して印象に残る信長像になっている。この回、家康のもとになってきた信長は、迫力があり、あるいは、怖かった。自ら戦国の時代の覇者と思い定めている。(まあ、それも、本能寺の変で潰えることになるのだが。)この信長の前では、家康は、まさに「どうする」という状態でしかない。
第二は、鳥居強右衛門。
今までの戦国大河ドラマでこの人物が登場してきていただろうか。私には記憶がない。(昔のドラマをそう見ていたわけではない。)しかし、戦国時代の徳川の歴史を語るうえでは、重要な役割をはたしたことになる。この強右衛門の描き方が、非常に面白かった。特に、歌、それから、川を泳ぐシーン。なるほど、ドラマとして作るとこのように演出できるのかと思うところがある。
以上の二つが、特に記憶に残るところである。
それから、瀬名。徳川にあって存在感を増している。信長とも対立するようである。これが、その後のことにどのように影響を及ぼすことになるのか、このあたりもこのドラマの見どころになっていくかと思う。
次週は、合戦場面になる。どのように描くことになるのか、楽しみに見ることにしよう。
2023年6月5日記
『どうする家康』第21回「長篠を救え!」
この回で印象に残るのはやはり次の二人だろうか。
第一には、信長。
これまでのドラマの信長とは違った。以前の大河ドラマで多くの信長が登場してきているのだが、その中でも傑出して印象に残る信長像になっている。この回、家康のもとになってきた信長は、迫力があり、あるいは、怖かった。自ら戦国の時代の覇者と思い定めている。(まあ、それも、本能寺の変で潰えることになるのだが。)この信長の前では、家康は、まさに「どうする」という状態でしかない。
第二は、鳥居強右衛門。
今までの戦国大河ドラマでこの人物が登場してきていただろうか。私には記憶がない。(昔のドラマをそう見ていたわけではない。)しかし、戦国時代の徳川の歴史を語るうえでは、重要な役割をはたしたことになる。この強右衛門の描き方が、非常に面白かった。特に、歌、それから、川を泳ぐシーン。なるほど、ドラマとして作るとこのように演出できるのかと思うところがある。
以上の二つが、特に記憶に残るところである。
それから、瀬名。徳川にあって存在感を増している。信長とも対立するようである。これが、その後のことにどのように影響を及ぼすことになるのか、このあたりもこのドラマの見どころになっていくかと思う。
次週は、合戦場面になる。どのように描くことになるのか、楽しみに見ることにしよう。
2023年6月5日記
『編集者の読書論』駒井稔/光文社新書 ― 2023-06-06
2023年6月6日 當山日出夫
駒井稔.『編集者の読書論-面白い本の見つけ方、教えます-』(光文社新書).光文社.2023
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334046637
面白い本である。現代におけるすぐれた読書論、読書案内になっている。
著者、駒井稔は、元、光文社古典新訳文庫の編集長。その経験、それから、それ以前からの編集者としての経験が土台になっている。
まず興味を引くのは、編集者という仕事についてである。私の感じるところでは、一般には、編集者というと、出版社の社員というような感覚で思われているかもしれない。だが、この本を読むと、書籍編集者、特に文芸書の編集者は、著者と対等に本を作っていく重要な役割であることが分かる。日本はともかく、欧米ではそうであると言っていいのだろう。編集者の仕事や出版ビジネスについて、欧米各国の事例、体験について語ってあるところは貴重である。
それから、その編集者の仕事の延長として、書店、出版社、図書館、といった本にまつわるもろもろについて語られる。これが面白い。出版はビジネスであるという観点が強調されているのだが、これは、私も深く同意するところでもある。ただ、そうはいっても、ビジネスとして儲かればいいというだけのことではない。小規模でも、いい本をきちんと作っているところには、目配りもある。
そして、何よりもブックガイドとして面白い。ある面では、ブックガイドのブックガイドという側面もある。本について述べた本を数多く紹介してある。
紹介してある本のなかには、読んだことのある本もあるし、名前を知らなかった本もある。この本をきっかけにして、いろいろと読んでみたい本がある。特に、『若草物語』とか『小公女』とか、名前とストーリーの概要は知っているつもりでも、きちんと読んだことのないものが多い。これら、これからの読書の範囲に加えてみたいと思う。
ところで、著者の経歴には、慶應義塾大学とあるのだが、あるいは、三田のキャンパスに通っていた時期が、私と重なっているのかもしれない。
別に悪いことだとは思わないが、『福翁自伝』が自伝の傑作として紹介してあるのはいいのだが、現代語訳である。決して『福翁自伝』は、難しいことばで書かれてはいない。(まあ、慶應で学ぶと、福澤諭吉の著作は、遠ざけてしまう感覚があるということは、私としても分かる気がするのだが。)ここは、現代語訳ではなく、現代の校訂本(原文)の『福翁自伝』を紹介しておいてほしかった。
2023年5月19日記
https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334046637
面白い本である。現代におけるすぐれた読書論、読書案内になっている。
著者、駒井稔は、元、光文社古典新訳文庫の編集長。その経験、それから、それ以前からの編集者としての経験が土台になっている。
まず興味を引くのは、編集者という仕事についてである。私の感じるところでは、一般には、編集者というと、出版社の社員というような感覚で思われているかもしれない。だが、この本を読むと、書籍編集者、特に文芸書の編集者は、著者と対等に本を作っていく重要な役割であることが分かる。日本はともかく、欧米ではそうであると言っていいのだろう。編集者の仕事や出版ビジネスについて、欧米各国の事例、体験について語ってあるところは貴重である。
それから、その編集者の仕事の延長として、書店、出版社、図書館、といった本にまつわるもろもろについて語られる。これが面白い。出版はビジネスであるという観点が強調されているのだが、これは、私も深く同意するところでもある。ただ、そうはいっても、ビジネスとして儲かればいいというだけのことではない。小規模でも、いい本をきちんと作っているところには、目配りもある。
そして、何よりもブックガイドとして面白い。ある面では、ブックガイドのブックガイドという側面もある。本について述べた本を数多く紹介してある。
紹介してある本のなかには、読んだことのある本もあるし、名前を知らなかった本もある。この本をきっかけにして、いろいろと読んでみたい本がある。特に、『若草物語』とか『小公女』とか、名前とストーリーの概要は知っているつもりでも、きちんと読んだことのないものが多い。これら、これからの読書の範囲に加えてみたいと思う。
ところで、著者の経歴には、慶應義塾大学とあるのだが、あるいは、三田のキャンパスに通っていた時期が、私と重なっているのかもしれない。
別に悪いことだとは思わないが、『福翁自伝』が自伝の傑作として紹介してあるのはいいのだが、現代語訳である。決して『福翁自伝』は、難しいことばで書かれてはいない。(まあ、慶應で学ぶと、福澤諭吉の著作は、遠ざけてしまう感覚があるということは、私としても分かる気がするのだが。)ここは、現代語訳ではなく、現代の校訂本(原文)の『福翁自伝』を紹介しておいてほしかった。
2023年5月19日記
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