100分de名著「ヘーゲル“精神現象学” (4)それでも共に生きていく」2025-04-02

2025年4月2日 當山日出夫

100分de名著 ヘーゲル“精神現象学” (4)それでも共に生きていく

斎藤幸平については、『新人生の資本論』を読んで、どうにもうさんくさい、という気持ちがぬけない。なぜそう感じるのかというと、主張していることのなかに、自分がその価値観を主張するのは何故なのか、それに、賛成しない人がいるとすればそれは何故なのか、ということについて、自省するところが感じられないからである。よりいっそうたちが悪いと感じるのは、こういうことが分かっていて、あえてしらばっくれているところである。

こういう視点でみるなら、説得力を持たせようとして出した例なのだろうが、死刑制度の有無については、まったくの逆効果であるし、そのことを分かっていながら、そういう主張をおりこんで話しをするというのは、たちが悪い。(死刑制度があるのは、日本だけではない。まるで、世界の日本以外の国では、まったく無いような言い方をしてはいけない。語るべきは、その制度の是非だけではなく、方法、どのような犯罪に対して科されるのかということなどであり、これらを考えれば、そんなに簡単に今の日本の死刑制度を批判はできないはずである。また、死刑に反対=進んでいる、賛成=遅れている、という価値判断が、こっそりとしのびこませてある。あまりに姑息である。)

平等というような理想についても、現実にはどういう状態になったときに、この世の中のすべての人が納得する状態として平等が実現するのか……このことについての共通理解はとても困難である。だからこそ、自分の考える正しさについての自省、それに同意しない他者に対する想像力が必要になる。これは、私の理解するところでは、本来の保守主義の考え方である。そして、実際には、今の社会において、いわゆるリベラルを自称する立場でも、逆に保守を自称する立場でも、非常にかたくなである。

2025年4月1日記

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