「香港 百年のカオス 借り物の場所 借り物の時間」2024-06-21

2024年6月21日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 香港 百年のカオス 借り物の場所 借り物の時間

香港がイギリスから中国に返還されるとき、さっていくイギリスの姿が実にかっこよかった、というのがその当時のニュースを見ていて思ったことである。

何故、中国は、約束を反故にして香港の民主勢力を圧殺したのだろうか。一国二制度ということの約束をやぶることのデメリットもあるにちがいない。何よりも、中国は約束を守らない国だということを、世界に示すことになる。また、自由主義の地域を持っておくことで、世界の国々と、外交のみならず、貿易においても、有利に働くことがあるはずである。

しかし、自分の国の「内部」に自由な地域を持つことは、おそらく今の習近平政権にとっては、恐怖だったのだろうと思う。中国にとっての香港とは何であったのか、これからはどうであるのか、という視点があってもよかったと思う。

香港の歴史をたどっていたのだが、ちょっともの足りない気がしないでもない。

イギリス統治下において、実際にどのような政治のシステムがあったのか。そこに暮らす人びとは、どんな人たちがどんな暮らしをしてきたのか、それが、中国に返還後はどう変わっていくことになるのか、このあたりもうすこし掘り下げた説明があってもよかったかかと考える。

アップル・デイリーが廃刊に追い込まれたことは、記憶に新しい。日本の報道などでは、りんご日報の名称の方が知られているだろう。

少し前までは、NHKでも香港の民主活動家の人たちのことをとりあげたドキュメンタリーを放送していたが、今では見なくなった。もうそのような番組を作ることもできないほどに、当局の監視と締め付けが厳しくなっているということなのだろうか。

2024年6月19日記

「激写!スクープ戦争 〜写真週刊誌・タブーに挑んだ人々〜」2024-06-21

2024年6月21日 當山日出夫

アナザーストーリーズ 激写!スクープ戦争 〜写真週刊誌・タブーに挑んだ人々〜

再放送である。二〇二三年の放送。最初の放送のときは見ていない。

『FOCUS』が創刊されたころ、買っていた。日本における写真週刊誌というものを新しく作っていこうとして試行錯誤のときだった。そのころ、藤原新也の写真が掲載されていたのを見たのを記憶している。

その後、藤原新也の本はいくつか買って読むことになった。特に、『全東洋街道』は、人間の生きていく意味というようなことについて、かなり考えことにつながった。

ともあれ、創刊初期の『FOCUS』は、面白い存在だったというべきだろう。強いていえば、『LIFE』をどこか意識していたようなところを感じもした。フォトジャーナリズムのあり方を模索していた時期があったともいえるだろう。

メディア史的には、何故、『FOCUS』『FRIDAY』などが急速に世の中で売れて、それが、二〇年ほどの間で、逆に急速に凋落していったのか、その理由を考えることになるだろう。その末期は、インターネットの普及時期になるのだが、しかし、まだSNS(Twitterなど)は登場していないし、iPhoneもまだ世の中にはない。今では、かつての写真週刊誌のしめていた位置を、SNSがとって代わっているというべきなのかもしれない。

現代の出版業界の低迷、というよりも、没落とでもいうべき状況のなか、写真週刊誌というものをどう位置づけて考えるのかは、出版史、メディア史という分野の課題ということになると思っている。また、ジャーナリズムのあり方を考えることにもつながるにちがいない。

2024年6月20日記