『街道をゆく 本郷界隈』司馬遼太郎/朝日文庫2023-06-29

2023年6月29日 當山日出夫

本郷界隈

司馬遼太郎.『街道をゆく 本郷界隈』(朝日文庫).朝日新聞出版.2009
https://publications.asahi.com/kaidou/37/index.shtml

もとは、一九九一年から九二年、「週刊朝日」連載。

これは面白かった。

本郷には行くことがある。秋の訓点語学会が東京大学で開催ということになってから、年に一回は東大に行く。これも、COVID-19のせいで、しばらく行っていない。オンライン開催が続いた。

本郷、東大の周辺は、そんなに詳しいということではないが、しかし、東京のなかでは、比較的知っている地域になる。

本郷界隈ということで、主に東京大学を中心として、その周辺の地域をめぐり、関連する人びと、歴史的なできごとへと、次から次へと連想の赴くままに、筆がすすんでいる。

夏目漱石、森鷗外、樋口一葉といった近代の文学者はもちろん、朱舜水、最上徳内、水戸光圀など、多方面にわたる。無論、東京大学のあった前田家のことについても詳しい。

また東京大学を論じて、明治という時代についても言及する。

馴染みの地名が多く出てくるせいかもしれないが、これまで読んだ「街道をゆく」のなかでは、特に面白いものである。これは、大仰な日本文化論、日本史講釈が出てこないせいかもしれない。まあ、このあたりは読む人の好みの分かれるところかもしれないが。

司馬遼太郎の書いた、漱石の『三四郞』論として読んでも興味深い。

2023年6月27日記

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