フランケンシュタインの誘惑「虚飾の医療革命 背徳の女神と科学者たち」2025-03-12

2025年3月12日 當山日出夫

フランケンシュタインの誘惑 虚飾の医療革命 背徳の女神と科学者たち

この技術はいずれ実用化が可能であるのだから、投資する価値がある……こういう限りにおいては、詐欺とはいいにくいのかもしれない。

世の中の多くの、(将来有望な)ベンチャー企業への投資、とされているものは、おそらくはセラノスの事例と、さほど、投資者の側の心理としては違わないのではないだろうか。

少ない量の血液で、多数の項目の検査が可能になる、おそらくは将来的にはまったくありえないことではないだろうと、素人目には思うのだが、専門家はどう考えることになるだろうか。それを実現するために、どのような技術的な壁をクリアしなければならないか、現在の技術について知っている専門家が、どう考えたのかが問題になるのだろう。それが非常な難題だということが分かっていても、少しでも可能性があるなら、技術の開発にとりくむ価値がある、そう思ったとしても、それはとがめることができるだろうか。

もし成功したということなるのなら、まさに、「プロジェクトX」、いや、新しいアメリカンドリームの実現、ということになるのだが……

経営者のホームズが、成功する見込みがまったくみこめないのに、投資をもちかけていた、ということで、詐欺が成立する……こういうことなのだろうと思う。だが、見終わって、なんとなくすっきりしない気がするのは、目指した技術が、まったく不可能である、ということを番組中で断言していなかったことにもある。

ホームズがどういう人物であったかも重要だが、この会社にむらがった人びとが、どう考えたのか、投資するにあたって、他の医科学についての専門家からどのような助言があったのか、というあたりのことが気になる。全てがセラノスから提供された情報のみで投資にふみきったとも思えない。

夢のような技術への投資、ということでは、今のAI関連の話題についてもいえることだと思う。まあ、AIについては、すぐに作ったものの結果が見える、さらには、その結果として生み出されたものが暴走する危険性、ということはあるのだが。

2025年3月6日記

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