新常用漢字:国語研コーパスが利用されないのは何故か ― 2008-05-31
2008/05/31 當山日出夫
新常用漢字について、考える。
小形さんのブログ「もじのなまえ」によれば、先日の、新聞報道以来、傍聴者が、急に増えたそうである。やはり、文字のことになると、世間は、いろいろい気にするようである。問題な日本語、ではなく、問題な常用漢字、といったところか。
http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20080526/p1
さて、上記のブログのコメントを読むと、「憲法漢字」なるものが存在するらしい。ま、実際に、「憲法漢字」の有無・是非は、ともかくとして、現行の日本国憲法と並べて考えてみると、問題点がいろいろ共通していることが見える。
今のままで、とにかくうまくいっているのだから、強いて改正する必要など無い。(絶対に、第9条を守れ、というほどではないにしても。)
いや、現実の状態と、整合しない部分がある。ここは、現実的な判断をして、改正すべきである。(せいぜい、合法的に、自衛隊が、国連軍の活動に参加できるように、という程度か。)
憲法は、何よりも、その制定のプロセスに意味がある。GHQ(マッカーサー)が、英語で書いて、日本語に訳しただけの憲法に、日本国民としての合意はない。改正の是非をふくめて、現状のままにとどめるにせよ、再度、国民投票で、決着をつけるべきだ。
この「憲法」を「常用漢字」に代えてみると、そっくり同じ議論がなりたつ。それは、わざわざ、ここに書くまでもないだろう。
ところで、制定のプロセスという観点から問題になるのは、漢字の頻度調査データの信頼性である。活字資料としては、凸版、それに新聞社のデータによっている。まあ、これは、いいとしよう。
ここで問題になるのは、何故、国立国語研究所が作成の日本語コーパス(ことのは)が、使われていないのか、である。
国立国語研究所 ことのは
http://www2.kokken.go.jp/kotonoha/
私個人として、このコーパスが万全であると思っているわけではない。しかし、せっかく、独立行政法人として、税金を投入して作成した、この現代日本語コーパスが、新常用漢字の制定にあたって、活用されないのか。
国立国語研究所は、廃止(→大学共同利用機関法人に移管)、である。日本の言語政策を、ささえる基礎的な調査研究機関としての、役割は、もはや必要ない、ということであるのだろうか。
新常用漢字がどうなるにせよ、その基礎資料として、国語研の「ことのは」を利用しなかったことの、明確な説明責任が、委員会にはある。この点は、追求すべきであると私は考える。
當山日出夫(とうやまひでお)
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://yamamomo.asablo.jp/blog/2008/05/31/3553583/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。