『高い窓』村上春樹訳 ― 2019-07-27
2019-07-27 當山日出夫(とうやまひでお)

レイモンド・チャンドラー.村上春樹(訳).『高い窓』(ハヤカワ・ミステリ文庫).早川書房.2016 (早川書房.2014)
http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013325/
続きである。
やまもも書斎記 2019年7月24日
『リトル・シスター』村上春樹訳
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/07/24/9132690
レイモンド・チャンドラーの村上春樹訳を読んでいって、五冊目になった。
これまで読んできた作品の印象からすると、この作品は、ミステリとしての完成度が高いという印象がある。いいかえるならば、謎の提示とその解明が、フェアに進行しているということである。
とはいえ、ハードボイルド……「私」の視点から小説……という観点からすると、ちょっとどうかなというところが少しある。小説の終わりの方であるが、事件のおこった家で、「私」がたまたま、そこにやってきた登場人物の会話をかくれて立ち聞きするシーン、これは、たまたまそのような状況になったといえば、それまでなのだが、「私」の視点で一貫させるという意味では、やや違和感を感じざるをえない。(この点については、村上春樹のあとがきでも言及してある。)
上記のような不満がすこし残るとはいうものの、全体としての読後感は、爽快である。小説の最後の決着のつけかた、終わらせ方が、実にいい。私立探偵としての視点、事件を捜査する警察の視点、これが最後にうまく整えられている。また、ハッピーエンドということではないが、登場人物のひとりの幸せな生活を描いて終わっているのも、読後感をいいものにしている。
残りは二冊。次は、『プレイバック』である。
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続きである。
やまもも書斎記 2019年7月24日
『リトル・シスター』村上春樹訳
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2019/07/24/9132690
レイモンド・チャンドラーの村上春樹訳を読んでいって、五冊目になった。
これまで読んできた作品の印象からすると、この作品は、ミステリとしての完成度が高いという印象がある。いいかえるならば、謎の提示とその解明が、フェアに進行しているということである。
とはいえ、ハードボイルド……「私」の視点から小説……という観点からすると、ちょっとどうかなというところが少しある。小説の終わりの方であるが、事件のおこった家で、「私」がたまたま、そこにやってきた登場人物の会話をかくれて立ち聞きするシーン、これは、たまたまそのような状況になったといえば、それまでなのだが、「私」の視点で一貫させるという意味では、やや違和感を感じざるをえない。(この点については、村上春樹のあとがきでも言及してある。)
上記のような不満がすこし残るとはいうものの、全体としての読後感は、爽快である。小説の最後の決着のつけかた、終わらせ方が、実にいい。私立探偵としての視点、事件を捜査する警察の視点、これが最後にうまく整えられている。また、ハッピーエンドということではないが、登場人物のひとりの幸せな生活を描いて終わっているのも、読後感をいいものにしている。
残りは二冊。次は、『プレイバック』である。
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