雑談「昭和」への道「第六回 ひとり歩きすることば〜軍隊用語〜」2023-10-06

2023年10月6日 當山日出夫

司馬遼太郎 雑談「昭和」への道 第六回 ひとり歩きすることば〜軍隊用語〜

特にこの回の内容はいろいろと考えるところがあった。国語学、日本語学の研究からはもうリタイアしようとは思っているのだが、それでも、この回の内については、思うところがある。

やはり近代になってからの日本語のことである。国民国家としての近代の日本と言語、これについては、いろんな立場からの研究があることは承知しているつもりでいる。

このことについて、司馬遼太郎は、そのプラスの面を見ている。近代になって、軍隊で使える日本語ができて、昭和になって日本国民に共通の日本語が使えるようになった、このこと自体はたしかに意味のあることだと私は考える。(ただ、その一方で、外地における国語としての日本語ということ、また、方言の否定ということについては、まったく問題がないということではないのだが。)

国民が共有できる日本語があっても、その使い方を誤って空疎にしてしまったのが、昭和になってからの日本の軍隊である、と司馬遼太郎は語る。昭和戦前の軍隊用語、軍人のことばは、勇ましいだけで内容がともなわない、あるいは、嘘だらけであった。

練度の高い正直さが必要であると、司馬遼太郎は語っていた。たしかにそのとおりだと思う。これは、今の時代にあっても、政治家のことばが、どのように人びとに受けとめられているかということを考えてみれば、かつての昭和の戦前とそう変わりはないと思わざるをえない。練度の高い正直さには、リアリズムがあると同時にユーモアがある。このどちらも、今の日本の政治家のことばには無いものである。

2023年9月30日記

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