美の壺「スペシャル 国宝」2024-06-18

2024年6月18日 當山日出夫

美の壺 スペシャル 国宝

日曜日にBS4Kで『光る君へ』を見て、そのままにしていたら放送が始まったので、つい見てしまった。「国宝」を特集したものであったが、面白かった。なかで興味深かったのは、松江城と高雄曼荼羅のこと。

松江城は旧国宝であった。それが、戦後の文化財保護法の時点で、重要文化財になり、そのままであったものを国宝に昇格させようという運動があり、それが実った話し。(これは、「新プロジェクトX」でとりあつかってもよさそうであったが。)

国宝となるための決めてになったのが、昭和の解体修理のときの記録資料が残っていたこと。詳細な図面が残っていた。それによって、松江城の天守閣の構造がはっきりと分かることになった。

おそらく、今の技術としては、このときの資料をもとに、デジタル技術でいろんなことが出来るにちがいない。(もうやっているかと思うが。)

それから、慶長年間の祈祷札が確かに松江城にあったということを、釘のあなから特定できたというエピソードは面白い。別にこの祈祷札がなくても、おそらくは、年輪年代学によって作られた時期の特定は可能かとも思うが。

高雄曼荼羅は、奈良国立博物館の空海展で展示されていることは知っていたのだが、もう隠居と決めた身としては、出かけて行くのが億劫で行かなかった。家で好きな本を読んでいるのがいい。電車に乗って人混みの中を歩くのが、嫌になったのである。

その修復のプロセスは見ていて興味深い。文化財は、修復を重ねることで次世代にうけつがれていく。次の修復、それは、一〇〇年以上将来のことになるだろうが、その時の修復がやりやすいように、紙や糊をえらんで使うことになる。

岡墨光堂は有名だが、その作業の現場の様子がテレビに映るのは、あまりないかもしれない。少なくともニュース番組などでは見ない。

修復の重要さは、木造建築でも同様である。法隆寺の建物は、修理で木材を補って交換することで、今まで保ってきたものである。その将来の修復のために、今から木材を用意しておく。

文化財の継承ということを考える意味では、いい内容の番組であったと思う。

どうでもいいことかもしれないが、志野焼のところで、穴窯では大量の赤松を燃料として使う。この薪の調達は、昔から今にいたるまでどうなっているのだろうか。陶磁器の生産には、土も重要であるが、薪も重要だろう。どういうふうに調達してきたのか、このあたりのことがちょっと気になったところでもある。

2024年6月16日記

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