『真田丸』あれこれ「最終回」(その2)2016-12-21

2016-12-21 當山日出夫

昨日につづき、『真田丸』のはなし。

NHK『真田丸』
http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/

蛇足をちょっとだけ。三点ほど書いておきたい。

第一に、今回の『真田丸』が、戦国時代ドラマとして面白かったのは、大蔵卿局という希代の悪役を設定できたことにあるだろう。ドラマの最後の最後まで、秀頼が出陣していれば、勝てたかもしれないというところになって、邪魔立てしたのは、この女性であった。

大蔵卿局の存在が、このドラマを面白くした最大の要因のひとつであると思っている。

第二に、歴史の「もしも」がいくつかの場面で設定されていたこと。特に、終盤の大阪の陣のとき、ひょっとすると、豊臣は徳川に勝っていたかもしれない、あるいは、少なくとも有利な条件での和議にもちこめたかもしれない、という局面がいくつかあった。

このような場面を設定できたということは、歴史考証がしっかりしていたからこそである。このドラマを支えていたのは、着実な学問的な歴史考証である。そのうえに虚構(フィクション)としての、『真田丸』があった。歴史ドラマにおける歴史考証の意義というものを、つよく認識したことになる。

第三に、最終回の最後。真田家は、松代藩となる。その松代藩から、幕末の異才・佐久間象山がうまれている旨、ナレーションであった。これは、ものすごく痛烈な皮肉に思えた。昨年の大河ドラマ『花燃ゆ』である。

昨年の『花燃ゆ』に、佐久間象山がどのように描かれていたか、さっぱり記憶がない。幕末史を考えるうえで、最重要な人物のひとりである。

うがった見方をすればであるが、『花燃ゆ』が佐久間象山をきちんと描くような歴史考証をふまえているならば、もうちょっと違った展開のドラマにできたであろう……あのような最低視聴率ということにはならなかったであろう……ということ、NHK関係者の恨み節のように聞こえた。これは、考えすぎであろうか。

以上の三つぐらいが、最終回を見終わっての蛇足としての感想である。

さて、来年、『おんな城主 直虎』、これはどうしようか……たぶん、見ることになると思ってはいるのだが。

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