「ジーン・シャープ“独裁体制から民主主義へ” (3)非暴力ゆえの勝利」2024-01-26

2024年1月26日 當山日出夫

100分de名著 ジーン・シャープ“独裁体制から民主へ主義へ” (3)非暴力ゆえの勝利

この回でとりあげていたのは、リトアニアの事例。

これも、リトアニアがかつては独立国であって、ソ連に支配されているという歴史的な流れがあってのことであろう。ベルリンの壁の崩壊からソ連の解体にいたる流れのなかで、リトアニアは独立を果たしたことになる。そこにおいては、非暴力闘争が重要な役割をもったことはたしかであろう。

だが、ここにおいても疑問がある。そもそもリトアニアが独立国であったという人びとの意識、冷戦終結にいたる自由と民主主義への流れ、この大きな流れのなかで可能になった希有な事例と見るべきかと考える。

そももも、独裁体制はいけないものであるという、民主主義こそが尊い……このような価値観は、今の世界の多くの国々にとって普遍的であるとは言えないと思うが、どうだろうか。今の中国など、人びとの暮らしが安定して生活できるなら、今の体制を支持する、という人びとが多数であると思えるのだが、どうだろうか。すくなくとも、軍や警察による恐怖支配で国家を維持しているのではない。多くの国民の支持があることは確かなことであろう。

香港で起こったことは、どう考えるのか。(おそらく中国全体の体制変革が起こらない限り、香港に自由は戻ってこないと思うが。)

さらに天邪鬼なことを書いてみるならば、番組の冒頭で、ウクライナのことに言及していた。では、ウクライナの人びとが、あるいは、ロシアの人びとをふくめて、どのような非暴力闘争を展開したらロシアの侵攻を諦めさせることが可能なのだろうか、ここで具体的な方法を示さなければ何も言っていないに等しいと、私は思う。

2024年1月25日記

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