『おんな城主直虎』あれこれ「消された種子島」2017-05-02

2017-05-02 當山日出夫

『おんな城主直虎』2017年4月30日、第17回「消された種子島」
http://www.nhk.or.jp/naotora/story/story17/

前回は、
やまもも書斎記 2017年4月25日
『おんな城主直虎』あれこれ「綿毛の案」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/04/25/8498866

私の視点で見て、今回の見どころは、次の二点。

第一点は、種子島(=鉄砲)が登場してきたシーン。これを、武士ではない、百姓(足軽、雑兵というべきか)の武器として認識していたこと。武術のたしなみ(馬、弓、槍、刀などだろうか)のないものにも使える武器という見方である。

私は、特段、戦国時代とか、合戦史に詳しいというのではないのだが、このドラマのこの視点は、斬新な気がした。鉄砲の伝来には、現在では諸説あるらしい。また、鉄砲というものが、それまでの合戦の有様を変えたということもいえそうである。

では、その鉄砲と武士、武家とは、どのような関係にあったのだろうか。侍の武器として認識されていたのであろうか。

この観点では、前作『真田丸』の最後の信繁(幸村)と家康の対決シーン。ここで、信繁がとりだしていたのは、鉄砲であった。はたして、鉄砲というのは、武士の本来の面目とどうかかわるのであろうか。

このドラマ、戦国の合戦シーンは出てこないようであるが、それに変わって、戦国時代、中世における、武士、領主とはいかなる存在であったか、いろいろ興味深い視点を提示している。

第二点は、五目並べのシーン。幼い虎松は、五目並べに勝てない。

五目並べといえば、私が主出すのは、『涙香迷宮』である。今年の、「このミス」第一位になったミステリ。

やまもも書斎記 2017年1月3日
『涙香迷宮』竹本健治
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/01/03/8301083

この作品のなかでさんざん書かれていたこと、それは、五目並べ(連珠)においては、先手の方が圧倒的に有利である、ということ。この目で見てみると、ドラマでは、虎松は、後手で打っていた。これなら、負けてもしかたない。

で、直虎は、虎松に勝つ秘策をさずけるようなのだが、どうも、先手をとれとは言っていなかったようである。相変わらず後手になっていた。直虎はいったい何を言ったのだろうか。勝てるまであきらめるな、とでも言ったのかもしれない。

以上の二点が、今回の「消された種子島」を見て思ったことである。

なお、今回も出てきた、旅の男(柳楽優弥)の存在が気になる。一箇所に定住しない人物。このような漂白の人物が、中世には(あるいは、近世になってからも)いたのであろう。この人物が、これからの展開にどうかかわってくるか、気になるところである。

追記 2017-05-09
このつづきは、
やまもも書斎記 2017年5月9日
『おんな城主直虎』あれこれ「あるいは裏切りという名の鶴」
http://yamamomo.asablo.jp/blog/2017/05/09/8550386