ドキュメント20min.「あるからだ」2023-11-07

2023年11月7日 當山日出夫

ドキュメント20min. あるからだ

二〇分の番組だが、思わず見入ってしまった。

からだ、身体、という観点から一人の女性をおっている。海女である。数年前に乳がんの手術をしたという。それでも、今でも現役で仕事をつづけている。その肉体には、海女の仕事をしてきた痕跡がきざまれている。

生きるということを、そのからだを映すことによって、問いかけていると言っていいだろうか。

番組の途中で登場した、東京藝術大学の大学院生。小さなタトゥーを、多くのひとにほどこしてきている。これは、その学生の意図にも興味があるが、それを受ける人の方にも関心がある。これはこれだけで独立した番組にした方がよかったのではないか。

私も登場していた女性と同じ一九五五年の生まれである。そろそろ身体にも不調が出始める時期になる。いろいろと考えてしまった。

2023年11月6日記

ブラタモリ「敦賀〜すべての道は敦賀に通ず?〜」2023-11-07

2023年11月7日 當山日出夫

ブラタモリ 敦賀〜すべての道は敦賀に通ず?〜

敦賀は通過したことがあるだけである。新幹線の駅が出来ることは知っている。ただ、京都方面からだと、サンダーバードが敦賀までになるので、金沢に行くのに乗り換えなければならなくなる。

興味深かったことがいくつかある。

渤海の国と交易のあったことは知っているが、具体的にどのように行われていたかは知らない。その日本海への玄関口が、敦賀であったことになる。(実際にどのようなものが交易でもたらされていたのか、このことに触れるところがなかったのは残念な気もするが、史料はどれぐらい残っているのだろうか。)

鉄道のことは知らなかった。明治政府にとって、日本海から京阪神への物流ルートを確保することは重要な課題だったことになる。

ただ、次の問題は、敦賀から京阪神への道筋である。琵琶湖の西をとおるか、東をとおるか、あるいは、琵琶湖の水運を使うのか。ちなみに、国鉄の時代に湖西線が出来たのは、そう古いことではない。

敦賀が日本海への玄関口であるとして、ベルリンまで行けたというのも興味深い。そういえば、林芙美子がヨーロッパに行ったときは、シベリア鉄道の二等だか三等だか、下のクラスの列車で行ったはずである。

2023年11月5日記

「おかえり音楽室 新しい学校のリーダーズ SUZUKA」2023-11-08

2023年11月8日 當山日出夫

レギュラー番組への道 おかえり音楽室 新しい学校のリーダーズ SUZUKA

最近の歌にはまったく無縁の生活をおくっている私でも、新しい学校のリーダーズは知っている。いったいどこで憶えたのかは記憶にないけれど。

音楽番組であると同時に一種のドキュメンタリーである。著名なアーティストが、母校の音楽室で歌うという設定は、面白い。私には、音楽的なことはまったく分からないが、企画として斬新なものであることは理解できるつもりでいる。

この番組の良さというべきところは、学校を肯定的にとらえているところにあるかと思う。このごろ、学校がドキュメンタリーなどで出てくるとき、あまりいい印象であつかわれることがないと感じる。不登校であったり、いじめであったり、教員の過重労働であったり、さまざまな問題のあるところとしてあつかわれることが多いと思う。

だが、この番組では、学校を帰っていけるところ、かつての自分の居場所、そして、今でもそこに行けば、自分の居場所がある、このような視点から見ている。学校というところを舞台にした、新しい番組であると思う。

2023年11月6日記

「調査報道・新世紀 File1 中国“経済失速”の真実」2023-11-08

2023年11月8日 當山日出夫

NHKスペシャル 調査報道・新世紀 File1 中国“経済失速”の真実

中国経済の実態がどうなのか、時にニュースで見ることがある。特に、産経など見ていると、その実態はかなり悪いということが多く語られる。このあたりは、メディアの方針によるということも、割り引いて考えておく必要があるかとも思うが。

NHKとしては、本格的に中国の経済の実態にせまった企画と言っていいのだろう。表向きに発表の数字とは裏腹に、実態の経済は悪いようである。まあ、一般に中国政府が発表する公式の統計を信用するということはないだろとは思っているが。

映っていたのは、中国の地方の姿。廃墟になったビル。自動車のとおらない道路。困窮する人びと。それから、各地で多発するデモ。

国の債務というならば、日本でも多額の国債の問題がある。だが、少なくとも発表される数字は信用していいものだろう。これに対して、中国の場合、発表される数字がそもそも信用できるものなのかどうか、検証するところから始める必要がある。

将来的にはどうなのだろう。国家資本主義というべき今の中国が、国家的規模で財政が行き詰まることがあり得るだろうか。中国の国家の骨組みと、国家としての運営は、おそらく、日本などとは違っているにちがいない。このあたりのことについて説明がないと、ただこれから先の中国経済への不安ということで終わってしまう。

中国のSNSに投稿されたデモ映像を、香港で収集しているということは興味深い。まだ香港には、いくばくかの自由が残っているということなのだろう。

夜間の照明の調査によってその国のGDPを調べるというのは面白い。

番組では少し触れてあったが、中国の少子高齢化というのは、これからどういう影響をおよぼすことになるのだろうか。今後のことが気になる。

自動車の通らない道路で唐辛子を干している農民の姿が印象的であった。これが、今の中国の人びとの姿の一例なのかと思う。

2023年11月6日記

ウチの動物園「どうぶつが、歳をとったら」2023-11-09

2023年11月9日 當山日出夫

ウチの動物園 どうぶつが、歳をとったら

たまたまテレビの番組表を見ていてみつけたので録画しておいたものである。これは面白い。動物園、水族館をあつかった番組はかなりあるが、よくできていると感じる。

まあ、そもそも動物園というものが、人間の都合で作ったもので……という議論はあるだろう。しかし、今すでにある動物園について、そこにいる動物たちとどう接していくか、そこにいる動物たちがどう暮らしていくか、これはこれで考えるべきことである。

そういえば、「ザ・バックヤード」でも、高齢になり展示からリタイアした動物の余生を場所を確保してあるというのを見た。こういうのも、動物園の仕事の一つなのであると感じた。ペンギン、レッサーパンダ、ハイエナ、クマ、オランウータン、歳をとれば普通の生活はできない。

このごろでは、私もあまり外出することもないし、動物園に行くことも無くなってきている。だが、動物園の仕事として、このような部分があることは、もっと知られていいかと思う。

ナレーションは、森下絵里香アナウンサー。ニュース以外にも、こんな仕事をしているのかと、これも興味深かった。

2023年11月4日記

「多国籍タウン 新大久保 新たな一歩へ」2023-11-09

2023年11月9日 當山日出夫

多国籍タウン 新大久保 新たな一歩へ
https://www.nhk.jp/p/ts/BJKX3VVY1N/

BS1で放送したもの。録画を残してあったものをようやく見た。

新大久保は行ったことはないのだが(山手線に乗って通過するだけの駅である)、多国籍タウンとしては、よく扱われるところであることは知っている。

印象に残ったことをいくつか書いておきたい。

ここで暮らす韓国出身の女性たち。一九八〇年代に日本にやってきて、仕事をしてきたという。日本には、四〇年近く生活していることになる。そのような人びとが、日本の片隅で、日本語ではなく朝鮮語(私は、言語の名称としては朝鮮語ということにしている)のコミュニティをつくっている。韓国出身者ばかりなのだから、母語で会話するのは当然ではある。

しかし、その一方で、地元の日本の人びととの交流はないようだ。韓国出身の人も積極的に日本社会のなかに溶け込もうということもないようであるし、また、地元の人びとも、うちとけて一緒になろうとは思わないという面がある。

歳をとってきて、介護が必要になったとき、日本の施設では難しいという。では、選択肢として、母国に帰ればいいではないかとも思えるが、そうはいかない事情があるのだろう。(このあたり、番組では触れていないところであった。)

どちらが悪いということではなく、母国を離れて外国で仕事をして生活をするということは、こういう面があるということを確認することが重要だろう。新大久保の場合、(番組のなかに出てきた範囲内では)不法滞在ということではないらしい。

新大久保で暮らす外国出身の人びとも、最近の円安で、アメリカなどに行こうとする人が多いらしい。日本の国の方針としては、名目はどうあれ、移民として外国から人を呼び寄せる方向に向かっていると思うのだが、これも今後どうなるかと思う。

面白かったのは、ハンコ屋さん。やはり、日本で生活して暮らすとなると、ハンコが必要になる。今では、ハンコを必要とする場面は減ってきているとは思うが、それでも需要はあるのだろう。(私の場合、家にいて、宅配便の受け取りの時に押すぐらいである。これも、サインで済ますことも可能ではある。)

ネパール語の新聞が刊行されていることは、知らなかった。これは興味深い。インターネットの時代になっても、紙のメディアの需要はあるものらしい。

気になるのは、この番組で触れていなかったこと。

一つは、イスラムの人びとのことについて全くあつかっていなかったこと。番組の時間の制約もあるのだろうが、日本に住む外国人としては、これから避けてとおることのできない課題であるはずである。新大久保にはコリアタウンの他に、イスラム横町があると地図では表示していたが、ここについて触れることはなかった。

それから、子供の教育のこと。日本の公教育ではどう対応することになるのか、これも大きな課題である。このことについて、番組では触れていなかった。

番組の意図とは関係ないが、NHKで「インスタ映え」と言っていた。これは、以前なら「SNS映え」であったと思う。インスタ(=インスタグラム)は、固有の名前である。これを使うようになったというのは、NHKの用語の基準が変わったのか、あるいは、もう「インスタ映え」でしか言えないまでに普及してしまっているということなのか。

2023年11月4日記

映像の世紀バタフライエフェクト「地球破壊 人類百年の罪と罰」2023-11-10

2023年11月10日 當山日出夫

映像の世紀バタフライエフェクト 地球破壊 人類百年の罪と罰

見ていろいろと考えるところがあった。

地球環境問題というのは、今では非常に身近な問題になっている。脱炭素社会ということは、現代を生きる人間にとって避けることのできない課題である。

だが、ここにいたる過程は波乱があった。

いくつかのことには触れていなかった。

例えば、アメリカがパリ議定書に復帰したことはあったが、では、それを離脱したときのことについては、まったく触れていなかった。(これも、次の大統領選挙の結果によってはどうなるかわからない。)また、現代では、地球環境問題について、重要な役割となるのは、いわゆるグローバルサウス、それから、中国のことがあるだろうが、これについて触れることもなかった。

環境問題は、常に政治の問題でもあったことを認識することになる。

そうはいっても、過去の映像としては興味深いものがいくつかあった。

私の年代であれば、DDTのことはなんとなく記憶にある。光化学スモッグがニュースになったときのことは、憶えている。日本で環境庁が出来たときのことも憶えている。

コナン・ドイルの話している場面を見たのは初めてだったかもしれないシャーロック・ホームズのことが出てきていたが、そういわれてみれば、ホームズの時代のロンドンは、霧、というよりも煤煙の街であったことになる。この時代は夏目漱石が留学していた時代でもある、と思って見ていたら、漱石が引用してあった。

この回の意図とは関係ないことだが、レイチェル・カーソンについて、その当時の映像を使っているのだろう、「女史」とあった。このことばは今では使わない。

2023年11月8日記

100分de名著「古今和歌集」(1)2023-11-10

2023年11月10日 當山日出夫

100分de名著 “古今和歌集” (1)めぐる季節の中で

古今集の歌を始めて読んだのはいつのころになるだろうか。中学の時の教科書に載っていたように思える。高校のときにはそのいくつかを読んでいる。大学で国文科というところで勉強したから、古今集を読むことは必須のようなものだった。

番組を見て思うことがいくつかある。

画面に映っていたのは、元永本だった。確かに古今集のまとまったテキストで最古のものとなると元永本になる。東京国立博物館の所蔵であり、これが展示されているとき、目にしたことがある。また、e国宝のHPで、何度も見ている。(これは、以前、学生にインターネット上の文化財について教えるとき、かならず言及するようにしていた。)

現在の和歌研究の分野のことについては疎いのだが、今では元永本のテキストはどういう位置づけなのだろうか。私の学生のころは、一般に使われるテキストとしては、定家本を使っていた。

和歌は人びとの共通言語である、ということが言われていた。確かにそのとおりかもしれない。古く万葉の時代から、平安時代を経て、中世、近世と人びとは歌を詠んできた。近代になってからも、近代文学としての和歌がある。現在でも、多くの人によって詠まれ、また、読まれている。ただ、古典として、本のなかにあるだけのものではない。このことは確かである。

強いて天邪鬼に考えるのだが、少なくとも古今集の歌は、当時の平安貴族のものである。いきとしいけるものいづれかうたをよまざりける……とはいいながら、貴族以外の一般の民衆(と言っていいだろうか)の歌は、古今集に含まれていない。

歌を共通言語として考えるのはいいとしても、それは、社会的階層としてはどのような人びとが担ってきたことになるのだろうか、というあたりが気になる。(このような問題意識の延長としては、日本語の歴史におけるリテラシーというようなことになる。)

このようなことを考えてはみるのだが、しかし、その一方で、千年以上も前の平安貴族の詠んだ歌を、二一世紀の我々が読んで、共感するところがあるのは何故なのか。これこそ、古典というものだといってしまえばそれまでなのだが、日本語、日本文学の歴史における、連続性ということを考えることになる。

2023年11月8日記

100カメ「アニメ「進撃の巨人」最終話」2023-11-11

2023年11月11日 當山日出夫

100カメ アニメ「進撃の巨人」最終話 トップ声優たちのアフレコに完全密着!

『進撃の巨人』は、名前はかろうじて知っているが、マンガを読んだこともないし、アニメも見たことがない。今、基本的に、マンガは読まないし、アニメも見ない。

しかし、声優という仕事があることは知っている。

そのアフレコの様子であるが、面白かった。映像としては未完成の状態で、効果音とかも入っていない状態で、声優のアフレコを行っている。これは、興味深かった。このような方法だと、演じる声優としても、完成した映像を想像力で補って仕事をしていることになる。

アニメ製作の世界も、様々なプロの世界である。今の時代だから、かなりの部分はデジタルの機材で行っていることになるのだろうが、最後は、映像にせよ、音声にせよ、人間の手でなされているということも面白い。

ところで、今のところ、そのような話題はないようなのだが、AI声優というようなものがこれから登場するだろうかという気もする。いったいこれからどうなるだろうか。

2023年11月8日記

偉人の年収 How much ?「横綱 双葉山定次」2023-11-11

2023年11月11日 當山日出夫

偉人の年収 How much ? 横綱 双葉山定次

双葉山の名前は知っている。が、それも相撲の連勝記録の保持者という程度のものである。

右目が見えなかったということは、この番組で初めて知った。このことは、本人も隠していたことらしい。勝負の世界である。自分のハンディをおおっぴらにするということのない時代ということもあったろう。

現役の横綱の時から、後進の育成につとめていたことは重要かもしれない。

私は、相撲はテレビで時々見るぐらいである。そう熱心なファンということではない。が、まったく関心が無いということでもない。昔、私が子供のころは、ちょうど大鵬、柏戸の時代だったのを憶えている。その当時のテレビは、無論、白黒である。

双葉山が亡くなったのは、一九六八年(昭和四三年)。私が中学の時のことになる。だが、双葉山が亡くなったというニュースに接したという記憶はない。

それにしても、双葉山が相撲に入門したときの年収がおどろくほど安い。まあ、戦前のことであるし、生活は相撲部屋が全部面倒をみてくれた時代だったろうとは思うが、小遣いににもならない金額である。いったい何を楽しみに生活していたのだろうかという気もする。これでは、いわゆる飲む、打つ、買う、は無理なことになる。

さて、今、相撲の世界のお金の事情はいったいどうなっているのだろうか。これも気になるところである。

2023年11月10日記